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R & D
皮膚と損傷
皮膚には、感覚器としての機能の他、外部刺激からの防御、水分の保持や漏出の防止、体温調節など、体内の環境を維持する大切な働きがあります。皮膚が損傷を受けると、小範囲であれば自然治癒も期待できますが、皮膚が広範囲に欠損してしまうと、体液の漏出や感染症によって生命が危険にさらされてしまうため、速やかな処置が必要です。

現在の治療の問題点
重度の熱傷など広範囲で皮膚を失う深刻な傷を負った場合の治療法としては、ウシやブタのコラーゲン成分で作られた人工真皮(人工皮膚)を欠損部に貼付する方法が一般的です。しかしながら、現在の人工真皮では特に表皮細胞の回復に時間を要することから、それを補うために適当なタイミングで表皮を自家移植する必要があり、よって患者さんの負担が大きいという問題がありました。

クラゲコラーゲン人工皮膚の可能性
クラゲコラーゲンには表皮細胞の増殖が活性化する作用が確認されており研究用試薬として販売しています。また海洋由来であることからコラーゲンは狂牛病などの人畜共通感染症のリスクがないというメリットがあります。そこで、東海大学医学部の住吉講師(再マトリックス医学生物学センター)が中心となって、ブタコラーゲンのみで作製した人工真皮と、ブタコラーゲンにミズクラゲコラーゲンを配合した人工真皮を作製し、動物実験により皮膚の再生効果を比較しました。その結果、ミズクラゲコラーゲン配合の人工真皮を貼付したマウスの皮膚は、表皮細胞と線維芽細胞が同時に活性化され、ブタコラーゲンのみの人工真皮の場合と比べ、倍以上の速さで皮膚が再生されることを確認できました。

人工皮膚
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